CHISOU

VOICES

想像すること

Writer: 井上唯

河野良文&小山田徹|お寺にみる、拠り所としての共有空間

お寺に入った瞬間、木々の間の気持ち良さそうなテントやベンチと大人たちが何かしようと集まっている様子や子どもの駆け回る姿が目に飛び込んできて、そのゆるやかに開かれた雰囲気にホッとしつつも、境内のそこかしこに置かれた小さなダルマも含め、どこからがこの寺の日常でどこからが今日のためのしつらえなのか分からずドキドキしながらみんなの輪に入っていった。そしてお二人の話に導かれて、かつてのこの地の光景や人々の生活と、いま目の前にある暮らしの風景が繋がって、当時の様子をリアルに想像することで生まれるワクワクするような風景の広がりを感じた。また、広くて高い空の下、みんなで塔の礎石跡に立ち、かつてその上に聳えていた大きな塔を想像して見上げながら、周辺の伽藍や人々のダイナミックな交流やにぎわいを想像していると、この足下にかつての人々が暮らしていたとんでもない時間が存在することが、この身体や風景の延長に確かに感じられる気がした。

  • Update: 2020.10.05 Mon.

PROFILE

井上唯

生活の中にある手仕事を含めた様々な“知恵”に興味があり、大学でクラフトや工芸を学んだ後、滞在制作などを通して各地に滞在しながら、身近にある素材や手法を用いて、その土地の自然や人々の営みが浮かび上がってくるような作品を制作している。一人で作ることもあれば、地元の方に手伝って頂いたり、市民参加型のような形で制作することも。今回は土地へのリサーチ方法を学びたい。また今後、他者と協働してプロジェクトを行ないたいとも考えており、他者と共に考えながら可能性を探っていくことで、個人の思考や領域を飛び越えていくような活動をしていきたい。

REFERENCES

講座について

LECTURE OUTLINE

  • ラボメンバーコース
  • ゲストコース

河野良文&小山田徹

お寺にみる、拠り所としての共有空間

2020年9月26日(土) 16:00–19:00

※荒天の場合は翌27日(日)同時刻

大安寺

古来より祈りと学びの空間として地域の精神的支柱でありつづける大安寺の河野良文貫主と、カフェや焚き火など人びとが集う共有空間の開発を手がけてきた美術家の小山田徹さんにお話いただきながら、まちの中でさまざまな背景をもつ人びとが出会い、語り合い、互いの存在について認め合う場のあり方について読み解きます。

河野良文
大安寺貫主

1951年福岡県生まれ、奈良県在住。15歳で高野山に登り仏門に入る。1985年より大安寺に入寺し現在に至る。南都七大寺のひとつに数えられる大安寺では、地域の様々な人にとって祈りや瞑想、交流の場として境内の庭を開放している。

小山田徹
美術家/京都市立芸術大学教授

1961年鹿児島県生まれ、京都府在住。1984年、大学在学中に友人たちとパフォーマンスグループ「ダムタイプ」を結成。主に企画構成、舞台美術を担当し、国内外で数多くの公演に参加。1990年より様々な分野の友人たちと造形施工集団を作り共有空間の開発を行う。