CHISOU

VOICES

時間軸

Writer: 井上唯

松岡慧祐|地図/マップは地域の多層性を表現しているか

 地図やマップによって出会うものや気づくことが変わるのが面白い反面、それらを持つことによってそこに書かれていない存在を無意識に切り捨ててしまうコワさもあり、持つのをためらうことがある。既存の観光マップにあるのは「現在」の空間軸の情報で、ないのは「別の時間軸」の実感かなと思った。

 そこで、かつての光景を目の前に豊かに想像するためのマップを作りたいと考えた。作りたい時代の地図情報をベースにしながら、当時の風景や人々の暮らしぶりまでリアルに想像できるようにコラムや図などをふんだんに盛り込み、そこに現在の簡単な地図情報を別のレイヤーで重ねることで、マップを手にその場所に立った時に、現在も残っている痕跡や地形をとっかかりにしながら場のスケール感を身体で体感しつつ、かつての光景が実感をともなって目の前に立ち上がってくるようなものにしたい。見せたい時間軸が複数ある場合は、時間軸ごとにレイヤーを重ねていく。

ワーク①「自分自身にとって地図の面白さとは?」
持つ地図によって、出会うものやコトが変わること。

ワーク②「自分でマップをデザイナーに発注できるとしたら、どんなマップを作るか?」
現在の場所や痕跡を手がかりに、かつての光景をスケール感を持って目の前にリアルに想像するための助けになるような、読み込むマップ。
時間軸を重ねた地層のように複数層になった形式のもの。

ex.大安寺の場合
・大安寺周辺のような小さなエリアの大きな紙のマップ。伽藍のような、当時の区画に合わせて作る。
・見せたい時代(奈良時代の大伽藍の頃)の地図を本紙にして、当時の様子、風景、人々の暮らしぶりなどが分かるコラムや図像など、
 想像を膨らますための情報をたくさん盛り込みつつ、視覚的なイメージを限定しすぎないようにする?シルエットのようなイラストとか?
・そこに現代の簡単な地図をトレースして重ねることで、自分が立っている場所と重ねながらスケール感を持って、かつての光景をイメージできるようにする。
・見せたい時間軸が複数層ある場合は、地層のように重ねていく。半透明のユポ紙のような丈夫な透ける紙を使う?

  • Update: 2020.10.15 Thu.

PROFILE

井上唯

生活の中にある手仕事を含めた様々な“知恵”に興味があり、大学でクラフトや工芸を学んだ後、滞在制作などを通して各地に滞在しながら、身近にある素材や手法を用いて、その土地の自然や人々の営みが浮かび上がってくるような作品を制作している。一人で作ることもあれば、地元の方に手伝って頂いたり、市民参加型のような形で制作することも。今回は土地へのリサーチ方法を学びたい。また今後、他者と協働してプロジェクトを行ないたいとも考えており、他者と共に考えながら可能性を探っていくことで、個人の思考や領域を飛び越えていくような活動をしていきたい。

REFERENCES

講座について

LECTURE OUTLINE

  • ラボメンバーコース

松岡慧祐

地図/マップは地域の多層性を表現しているか

2020年10月4日(日) 10:00–12:00

CHISOU lab.

身近な存在から社会を読む学問「社会学」の研究者である松岡慧祐さんをお迎えし、世界や社会を描き出すメディアとしての地図/マップをとりあげ、「グルメマップ」や「観光マップ」、「グーグルマップ」など生活の中で手にする地図に注目し、地域の多層性を読み解きます。

松岡慧祐
社会学/奈良県立大学准教授

1982年岡山県生まれ、大阪府在住。現代の都市や地域社会を表象するメディアとしての地図のあり方について社会学的な見地から調査・研究している。主著に『グーグルマップの社会学──ググられる地図の正体』(光文社)などがある。