VOICES
有限性と無限性の行き来
Writer: 櫻井莉菜
小林瑠音|アートプロジェクトとは何か──歴史・論点・アーカイブ
VOICES
Writer: 櫻井莉菜
小林瑠音|アートプロジェクトとは何か──歴史・論点・アーカイブ
アートプロジェクトの歴史や論点を見ていく中で、改めてその場所で体験するということ、同じ時間と空間を共有することの重要性に気付かされました。アーカイブにどれだけ残しても、アートプロジェクトを体験した個人個人の内側に蓄積されていった感動、知識、思想は目には見えないかもしれません。アーカイブに残すことをやり始めるときりがないという話もありましたが、アーカイブや参加者がアートプロジェクトから感じたことを誰かに伝えようとしても伝えきれないという有限性を感じました。しかし、それと同時に個人個人が感じることには無限の可能性があると思います。個人が他者に伝えていくことで、それを受け取った誰かの中で生まれる無限性を、また誰かに伝えていく……、アートプロジェクトをアーカイブにするということは、このような有限性と無限性の行き来なのではないかと感じました。また、アートプロジェクトそのものも、様々な制限や限界がある中で、アーティストやそこに関わる様々な立場の人たち、その地域の無限の魅力があり、そこを行き来しながら作られるのかなと思いました。
PROFILE
奈良県立大学西尾研究室の4年生です。ゼミで現代アート展の企画・運営やワークショップの企画を行いました。アートマネージメントや現代アートについて日々勉強中です。現在は、“対話”を主軸としたアートマネージメントについて考えています。CHISOUでは、年代の異なる参加者の方々との交流を通して、多様な価値観に触れ、今この時代にアートマネージメントを学ぶことの意味を考えていきたいと思っています。
LECTURE OUTLINE
小林瑠音
2020年11月14日(土) 14:00–16:00
英国の文化政策やコミュニティアート史の分野において研究を行う小林瑠音さんをお招きし、国内外のアートプロジェクトの歴史や、アートプロジェクトと関わりの深いキーワード・論点を整理しながらアートプロジェクトのアーカイブのあり方について考えます。
1982年京都府生まれ、兵庫県在住。英国の文化政策、コミュニティアート史の分野において研究を行う。いわゆる「アート」の存在が前提とされていない環境においてアートとコミュニティが遭遇していく、そのプロセスと社会的インパクトに関心をもつ。