VOICES
何かしらのフックがあるアーカイブ
Writer: 石川理香子
藤田瑞穂|キュレーターは何を編集し、アーカイブしているのか
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Writer: 石川理香子
藤田瑞穂|キュレーターは何を編集し、アーカイブしているのか
私が今回のレクチャーで最も印象に残ったことは、大学の移転に伴って大学の建設予定地にある小学校やその周辺地域を題材にした絵巻物をつくり、地域の人々と共有をするというプロジェクトだ。慣れ親しんだ土地の風景が壊される、自分が通っていた、関わりがあった小学校が大学の新校舎建設により壊されるということで周りに住む人々の中には大学移転を快く思わなかった人もいるかもしれない。そんな中で大学は美術という得意分野を生かしてその地域、小学校のアーカイブをつくり地域住民との対話を通して大学移転を受け入れてもらっていく。私はアーカイブの内容の部外者であるが、その一連の話を聞くとアーカイブにはどんなことが書かれてあるのだろうと気になった。アーカイブはすべての人々に手にとってもらえるように作られてはおらず、内容に興味がある人々に手にとってもらい、よくよく読んでもらうのが目的らしい。美術館や博物館、または劇場に行くと何かしらのパンフレットやアーカイブを入手することができ、私たちはその中から欲しいと思ったものを持ち帰るが、今後そのパンフレットやアーカイブのどこに私が持ち帰って読もうと思ったフックがあるのか考え直してみたいと思った。
PROFILE
昨年「船/橋わたす」を鑑賞し、また運営に携わった友人の話を聞いて私も参加したいと思い、応募しました。この活動を通して芸術と地域について多くの専門家から学び、仲間と議論し合い、どうしたらより自分の住む地域に愛着をもってもらえるのか、どのようにして芸術で地域を盛り上げるのかについて考えていきたいです。そして、将来的に私が教員になった際に授業を組み立てたり地域コミュニティの活動を運営していく際に役立てたいと考えています。
LECTURE OUTLINE
藤田瑞穂
2020年12月6日(日) 14:00–16:00
創立140周年を迎えた京都市立芸術大学の附属ギャラリーである@KCUA(アクア)で、先駆的な展覧会企画を数多く手がけてきた藤田瑞穂さんをお招きし、ウェブサイトや本などによる展覧会の記録から、大学の収蔵品や地域の史料の創造的活用まで、キュレーター視点からアーカイブの実践について掘りさげます。
1978年兵庫県生まれ、京都府在住。同時代を生きる作家と並走して、領域を横断する展覧会やプロジェクトの企画運営から書籍出版まで行う。主な企画にジョーン・ジョナス京都賞受賞記念展覧会「Five Rooms for Kyoto: 1972−2019」、ジェン・ボー「Dao is in Weeds」など。
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