VOICES
いつの時代も“人”(の思い)で動いていく
Writer: 櫻井莉菜
西山厚|〈奈良〉の信仰と美術──歴史はすべて現代史である
VOICES
Writer: 櫻井莉菜
西山厚|〈奈良〉の信仰と美術──歴史はすべて現代史である
西山さんのお話を通して感じたことが、奈良の歴史は「小さな力をたくさん集めて」つくられてきたということでした。ふりかえりタイムでは、他の参加者の方と廬舎那仏・大仏殿が焼失した度に再建を先導していった重源、公慶など、その“人”の魅力や思いによって、たくさんの人の心が動いたという話をしました。また、先人のお話をされている西山さん自身の魅力に私たちが心を動かされたと思い、今回のレクチャーで私が一番感じたことは、「いつの時代も“人”(の思い)で動いていく」ということでした。教科書で語られる歴史では、特定の人物が社会を動かしてきたように語られますが、仏像などの裏にある歴史からは、その時代に生きた人々の思いや気持ちによって形作られ、現代(いま)に繋がっているのだということを感じました。
PROFILE
奈良県立大学西尾研究室の4年生です。ゼミで現代アート展の企画・運営やワークショップの企画を行いました。アートマネージメントや現代アートについて日々勉強中です。現在は、“対話”を主軸としたアートマネージメントについて考えています。CHISOUでは、年代の異なる参加者の方々との交流を通して、多様な価値観に触れ、今この時代にアートマネージメントを学ぶことの意味を考えていきたいと思っています。
REPORTS
LECTURE OUTLINE
西山厚
2020年8月30日(日) 14:00–16:00
仏教美術史の第⼀⼈者で、奈良国⽴博物館名誉館員の⻄⼭厚さんをお迎えし、かつて⼤陸との間で⼈的・物的交流が頻繁に⾏われる中、疫病や天災、争乱など困難な出来事を経て育まれてきた奈良の⽂化芸術に焦点をあて、地域のコンテクストを現代史的視点から読み解く⽅法について学びます。
1953年徳島県生まれ、奈良県在住。奈良国立博物館の学芸部長として「女性と仏教」など数々の特別展を企画。現在は半蔵門ミュージアムの館長を務める。奈良と仏教をメインテーマに、人物に焦点をあてながら、様々なメディアで生きた言葉で語り書く活動を続けている。