CHISOU

VOICES

誰かの物語

Writer: 井上唯

西山厚|〈奈良〉の信仰と美術──歴史はすべて現代史である

覚悟や志のある人に出会うと心が震える。寄進をした人たちは、彼らの言葉やその志に希望を感じたのではないかと思う。そして、小さな行いだけれど、当人にとっては日常で思わぬモノや人に出会い、思わぬことをすることになった時の小さなドキドキや興奮があったのではないかと思う。人が想いを持って、言葉と行動で誠実に伝えていくことによって、少しずつその熱が伝わり、じわじわと広がっていく。小さな力をたくさん集めることで、その後に繋がってくるのだという考え方もとてもいいなと思った。

また、歴史上の単語や人物名でしかなかったことが、人の想いがのっかった個人の物語として語られた途端、いつの時代でもありえるひとりの人間の出来事として豊かに立ち上がってきたのがとても印象的だった。物事の背景を知ったり、誰かの物語であると想像できるだけで、自分に引き寄せてリアルに考えられるのかもしれない。

  • Update: 2020.09.16 Wed.

PROFILE

井上唯

生活の中にある手仕事を含めた様々な“知恵”に興味があり、大学でクラフトや工芸を学んだ後、滞在制作などを通して各地に滞在しながら、身近にある素材や手法を用いて、その土地の自然や人々の営みが浮かび上がってくるような作品を制作している。一人で作ることもあれば、地元の方に手伝って頂いたり、市民参加型のような形で制作することも。今回は土地へのリサーチ方法を学びたい。また今後、他者と協働してプロジェクトを行ないたいとも考えており、他者と共に考えながら可能性を探っていくことで、個人の思考や領域を飛び越えていくような活動をしていきたい。

REFERENCES

講座について

LECTURE OUTLINE

  • ラボメンバーコース
  • ゲストコース

西山厚

〈奈良〉の信仰と美術──歴史はすべて現代史である

2020年8月30日(日) 14:00–16:00

CHISOU lab.

仏教美術史の第⼀⼈者で、奈良国⽴博物館名誉館員の⻄⼭厚さんをお迎えし、かつて⼤陸との間で⼈的・物的交流が頻繁に⾏われる中、疫病や天災、争乱など困難な出来事を経て育まれてきた奈良の⽂化芸術に焦点をあて、地域のコンテクストを現代史的視点から読み解く⽅法について学びます。

西山厚
仏教史・仏教美術史/半蔵門ミュージアム館長/帝塚山大学客員教授

1953年徳島県生まれ、奈良県在住。奈良国立博物館の学芸部長として「女性と仏教」など数々の特別展を企画。現在は半蔵門ミュージアムの館長を務める。奈良と仏教をメインテーマに、人物に焦点をあてながら、様々なメディアで生きた言葉で語り書く活動を続けている。