CHISOU

VOICES

「ないかもしれない」音を「聴く」

中川真|レクチャー「サウンドスケープ入門」

「聴」という字は、神の声など、果てしなく遠い場所の音に耳を澄ますことを意味していたとのことだが、日を追うごとにこの話が味わい深くなってきた。そもそも聞こえるか聞こえないかの微妙な音を「聴く」とはどういうことなのか。「聴く」ということは、ある程度は能動的な行為なので、「聴こえるだろう」という予測や、「聴いたことがある」という経験がなければ成立しないように思う。かつての人々は「神の声を聴くことができる」「遥か遠くの、あるかないかわからないような音が存在する」という確信があったのか、何もないところから音を見出していたのか。存在しているけれど「聴いていない」音に気づくということをもう一歩越えて、「ないかもしれない」音を「聴く」という、確信も予測もなく、想像もできない音に真摯に耳を傾ける行為をしていこうと思う。

馬淵悠美

  • Update: 2022.04.20 Wed.

講座について

LECTURE OUTLINE

中川真

レクチャー「サウンドスケープ入門」

2021年7月18日(日) 13:00–14:30

CHISOU lab.

サウンドアートやサウンドスケープ、コミュニティアートなど幅広い分野で、ユニークな研究活動を続けている音楽学者の中川真さんを迎え、「聴く」ことの意味や、サウンドスケープの考え方についてお話をしていただきました。

中川真
音楽学者/大阪市立大学特任教授/奈良県立大学学術研究員

1951年奈良県生まれ、京都府在住。1981年に十津川の盆踊りに触れて以来、その素晴らしさに魅了される。「盆踊りの活性化によるコミュニティの再構築」(京都市)、「文化とコミュニティ維持のための村落・都市共創システムの構築」(サントリー文化財団)のプロジェクトのコーディネートを行う。