VOICES
昔の人が気づいていた香りの魅力とは
西山厚|レクチャー「時間と香り」
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西山厚|レクチャー「時間と香り」
西山さんは香木などが実際にどのような香りをしているのか全く説明しなかった。言葉だけで全てを表すのは不可能で、そのために香りや音、味などが存在するのかもしれない。五感全てが、私たちの表現の術であり、表現を受け取る術であると改めて思った。また、人が香りをどのように受け取るかはバラバラだと感じた。複数の人がいたら、その場に存在する香りは同じでも、受け取り方は何通りにもなる。自分以外の誰かが受け取った香りは、完全に理解することはできないから想像するしかない。そのような香りの魅力に昔の人は気づいており、だからこそ仏教にたくさんの香りの物語があるのかもしれない。
佐藤利香
PDF・22.1BM
REPORTS
LECTURE OUTLINE
西山厚
2021年7月31日(土) 14:00–16:00
仏教史家の西山厚さんを招き、時間と香りについてお話を伺いました。「時をかける少女」から始まり、『宇治拾遺物語』、蘭奢待、果てはキャベツまで、様々な時代とジャンルを跳躍する西山さんの刺激的な話に、山城さんと受講者から質問が相次ぎました。香りとは、人や場所、出来事と共に記憶され蓄積されるものという要点について学びました。
1953年徳島県生まれ、奈良県在住。奈良国立博物館の学芸部長として「女性と仏教」など数々の特別展を企画。現在は半蔵門ミュージアムの館長を務める。奈良と仏教をメインテーマに、人物に焦点をあてながら、様々なメディアで生きた言葉で語り書く活動を続けている。