CHISOU

REPORTS

  • トーク

「Ethno-Remedies: Bedtime Stories ⇄ A Life’s Manual」トーク①
長坂有希、山口未花子、吉岡幸次、吉岡伸次

2021年12月25日(土)

Editor: 西尾咲子(プログラムマネージャー)

「Ethno-Remedies: Bedtime Stories ⇄ A Life’s Manual」トーク① <br>長坂有希、山口未花子、吉岡幸次、吉岡伸次

出展作家の長坂有希さん、動物人類学者の山口未花子さん、養蜂家の吉岡幸次さん、吉岡伸次さんによるトークを開催しました。長坂さんが昨年度から活動を共にしてきた吉岡養蜂園の日々の仕事の様子、蜜蜂や他の動物とのコミュニケーションのあり方、人間の営みとの深いつながりなど、実践家の経験と実感にもとづく興味深いお話から多くの刺激を受ける機会となりました。

プロジェクトの経緯と吉岡養蜂園との協働について

長坂 私はアート分野の人と仕事することが多いのですが、今日は親子2代で養蜂をしている吉岡幸次さん、伸次さんが来てくださって嬉しく感じています。山口未花子さんは先住民の人々と共に研究をしながら、狩猟も実践しています。業種の異なる実践家の観点を交えつつお話しできたらと思っています。

最初にプロジェクトの経緯についてお話しします。昨春、奈良県立大学CHISOUから奈良で3年間ほどのプロジェクトをしてほしいという話を受けました。もともと土地に興味があり、その土地特有の地形や気候、自然、他の生物と人間の営みとのつながりの中で生まれてくる知恵や技術に関心がありました。私は大学で美術を学んできましたので、実践を通して生まれてくる知恵をもっと学びたいと思い、それを軸にしたプロジェクトを奈良でやろうと考えました。Ethno-Remediesは民間薬や民間療法を意味しますが、薬のような物質的なものだけではなく、それぞれの土地で人間の営みを通して培われてきた、生きていくための知恵や技術を意図しています。

昨年度は、奈良は薬草が有名なので薬草園に行ったり、在来野菜の栽培者にお会いしたり、ニホンオオカミが奈良で最後に確認されたことにも興味を持って調べたりしているなかで、養蜂にも関心を持ちました。養蜂と奈良には深いつながりがあり、『日本書紀』に「渡来人が三輪山に蜜蜂を放った」と書かれていて、それが日本の養蜂の始まりだそうです。調べていくうちに奈良の生駒山を拠点に養蜂をしている家族がいること、その家族は北海道に毎年遠征する移動養蜂もされていることを知り、とても興味を持ちました。突然お電話して来訪したにも関わらず、すごく温かく迎えてくださいました。蜂の生態や、肌身を通して感じる気候変動と温暖化の影響など、私が全く考えたこともなかったこと、実感として感じにくいことを話してくださり、多くの学びをいただきました。また、家族の仲の良さや温かい人柄、蜂に対する愛情に惹かれて、一緒に活動をしたいと強く思いました。

そこで今年度は養蜂に絞って、伸次さんの移動養蜂に同行させていただいたり、蜂の生態について話を伺っていた際に提案いただいた蜂箱に絵を描くプロジェクトをしたりしました。今回の展示では、それらの活動から得た成果物を展示しています。今日、まずお伺いしたいのですが、幸次さんと伸次さんはどのような経緯で養蜂を始めたのでしょうか。

養蜂に携わるようになった経緯

幸次 後に私の師匠になる人が隣村で養蜂をしており、中学校を卒業する直前に「弟子がほしい」と声がかかりました。養蜂なんて生まれて初めて聞く言葉で、全くわからなかったのですが、興味が湧いて即日快諾しました。5年間お世話になった後、20歳で独立して今日に至ります。

伸次 生まれた時から当たり前のように「うちは蜂蜜屋なのだな」と感じて過ごしてきました。大学まで行かせてもらい、サラリーマンをしているなかで、蜂蜜屋をしながら蜂を飼っている父の姿を間近に見ていたら、「やってみたいな」と。全ての責任を自分で負って蜂を飼育していく仕事でして、自然が相手なので何があるかわからない。そのリスクを考えると止めたほうが良いと父に言われましたが、「やりたい」と言ってやらせてもらった。同業者の知り合いに助けてもらいながら、奈良から北海道まで移動して養蜂する移動養蜂をさせてもらって、今日に至っています。

良い蜜蜂を育てるための移動養蜂

長坂 移動養蜂は昔から行われていたようで、春の花前線を追いかけて蜂と移動しながら蜜を採っていくというロマンチックな印象があり、長い日本列島の地形や地理と合っていると思って興味がありました。実際に同行してみると、もちろん今は現代だから、移動しながら蜜を採るのではなくワープに近い状態です。奈良で蜂を箱に入れて、一度も開けることなく北海道まで行ってから箱を開ける。展示映像にも移動養蜂の様子が記録されていますが、どのようなものなのか説明していただけますか。

伸次 奈良で春を迎える時、北海道はまだ冬。花も桜前線と同じように時期をずらしながら開花していきますので、北海道が春になる頃に移動します。なぜ移動するかと言うと、蜂蜜を採るというのもありますが、要は蜜蜂を育てるため。移動すると春が2回来るので、蜜蜂のコロニーが大きくなり、蜜蜂がより良い状態になる。一箱から二箱に増やし、二箱から三箱に増やしていきながら、蜜蜂のコロニー数を増やして奈良に持って帰る。奈良県は苺の生産が盛んな地域ですので、よく育てた蜂を園芸農家に出荷することによって、美味しい苺をつくってもらえる。しっかり受粉できる蜜蜂をつくるために移動養蜂があるのです。

山口 蜂を育てるって面白いですね。養蜂家は蜂蜜を採るのがメインだと思っていましたが、蜂を育てて農家にリースするのですね。

伸次 リースも販売もします。養蜂業界には問屋があり、私たち養蜂家から買い上げた蜂を、奈良県以外の蜂を必要とする園芸農家にも出荷していただきます。

山口 蜂蜜をたくさんつくる蜂と、受粉を上手にする蜂は一緒なのですか。それとも別々で使い分ける感じでしょうか。

伸次 使い分けるというか、つくり上げていきます。私たちは養蜂家なので、蜂を捕ってくるハンターではなくて、蜜蜂を年中飼育し続けて個体管理をしていきます。一箱ずつ時期に応じた適正な管理をして、常に蜜蜂を良い状態で保っていくのが養蜂です。

山口 では一つの群れが、この時期は蜜をたくさんつくるように、この時期は受粉をするようにと、飼育の仕方によって色々な得意技を身に付けさせることができるということでしょうか。

伸次 そうですね、その用途に特化した蜜蜂をつくることは当然できます。蜂蜜をたくさん集めるためには、蜂蜜をたくさん集める群れをつくってやります。

長坂 他の養蜂家に付き添っている時、「吉岡さんの家の蜂はたくさん蜂蜜を採れる」と皆が言っているのを聞いて驚きました。

山口 同じ西洋蜜蜂でも養蜂家によって蜂の質が全然違うのですね。

幸次 育て方が大事です。蜜蜂の習性をいかに習得して、その習性を活かした働きをしてもらうかですが、それができる人とできない人がいます。蜜蜂が花の蜜を採って帰ってきて、巣箱で蜂蜜に変換して、それを私たちはいただくのですが、その蜜源である花がないと、いくら蜜蜂がいても蜂蜜は採れません。そのためには花をつくる必要があります。息子が小さい頃のピクニックの行き先は、蜜源になる樹木の種を自分で蒔いて植林している山。「ここで遊べ」と子どもに言って、私たち夫婦は植林をしているような家庭でした。

人間の食生活と蜜蜂との深い関わり

幸次 私が独立した昭和40年頃、全国で農薬が普及し、花の交配をする益虫が絶滅する恐れが高まりました。そこで着目されたのが蜜蜂でした。当時、師匠と二人で農家に使ってもらえるように頑張ろうと、県の農業試験場を訪れた。自然界と違ってビニールハウスで蜜蜂を使うにはどんな環境にしたら良いかについて3年間ほど県職員と試行錯誤した結果、奈良県で苺栽培の農家に最初に使ってもらえるようになった。奈良では多種多様な苺があるのも、農業試験場が頑張って品種改良してきたおかげです。

トマトだけは花の構造が違って蜜蜂による交配はできませんが、それ以外の花には全て蜜蜂が利用されており、裏方として人間に貢献してくれるから果実が成るのです。全国で蜜蜂が収益を上げていますが、交配による収益は3500億円。私たちが蜜蜂からいただく蜂蜜は、3500億円のうち2%ほどの収益しか上がりません。皆さんは蜜蜂と言うと蜂蜜やプロポリスを連想しますが、実際はそのような形で人間に貢献してくれているのです。京都の大きな種苗会社が野菜の種をつくるのにも、蜜蜂を出荷させていただいています。蜜蜂が交配してくれないと良い種ができないという点で、人間が食している野菜や果物は蜜蜂の恩恵を受けています。

長坂 以前お話を伺っている時、蜂が関係している食物をつないでいくと、米や牛肉はつながらないけど、私たちが思ってもいないたくさんの食物と蜂が関係しているということが印象的でした。

幸次 皆さんに一番知ってもらいたいのは、蜜蜂って、蜂蜜を採るだけではない、家畜ではないということ。人間の食生活に深く関わってくれている。この子たちの活動があるから、今、色々な果物を美味しく食べさせてもらっている。

蜜蜂の表情や気持ち、雰囲気を汲み取る技術

長坂 以前、幸次さんが「蜂の性格や気持ちがわかる」というようなことを仰っていて、伸次さんも撮影中に「今日はちょっと蜂の機嫌が悪い」とか「今日は蜂が忙しくて人間のことを構っていない」とか口にしたことがありました。感覚的なことなので言葉で表すのは難しいかもしれませんが、その感覚について少しお話を聞かせていただけますか。

幸次 60年近く養蜂をしていますが、奈良県ではほぼ100%の確率で花が咲いて蜂蜜を集めてくれます。一度だけ4月から5月にかけて雨が続き、2トンほどしか生産できない凶作がありましたが、普通なら10トンほどの蜂蜜が毎年採れます。北海道は気候が悪く、夏でも「やませ」と呼ばれる冷たい風が吹いて霧が発生し、1カ月に一度も太陽を見ることがなかった年がある。寒くて蜜蜂が飛べず、霧で花や植物の具合も悪くて蜂蜜が採れない年もある。

蓋を開けると、まず蜜蜂の顔を見るのですが、蜂蜜が採れる約1週間前になるとサインが出る。花が咲いておらず蜜が採れない時の顔は、尖っていてギクシャクした感じですが、1週間ほど前になるとふっくらしてきて、「しめた、近いうちに蜜が採れる」とわかり、宿のおばさんに「ちょっと4、5人集めてよ」とお願いする。蜂蜜を集める時期にしか新しい巣はつくらないので、夜なべで巣を準備する。人間は木枠と原板、巣礎を入れるだけで、後は蜜蜂に任せると巣をちゃんと完成させてくれる。蜜蜂が蜜を貯めて巣を欲しがるまで気づかない人は、作業が後手後手にまわってしまいます。

それから羽音も大事。蜂場の前で車を降りたら耳を澄ませて羽音を聞く。いつも箱の中でワアワアしている音が、蜂蜜を集めるようになると、静かなシャーッという音に変わる。巣箱から外に出る時も、いつもはワァーンとした感じなのに、蜂蜜を集めだすと花のたくさんある方向に一匹一匹の音が集中したようなゴオーンという音になる。だから、この子たちの働いている顔と姿と音をいつも気にしています。秋になれば「もう採っちゃいけないな」という終わりのサインが出るので仕事を止めます。

伸次 蜜蜂と蜂屋の関係ですが、蜜蜂は資材でも道具でもない。ペットという感覚でもないけど、ちょっと近い。相手が何を欲しがっているのか、表情を汲み取る。蓋を開けた瞬間にだけわかる表情もあって、作業して蜂の巣を触ると雰囲気が抜けてしまう。例えば、女王蜂がいる巣といない巣では、巣の中の雰囲気が違います。新しくできた女王蜂か、まだ交尾をしていない女王蜂かによって雰囲気が違う。入口の巣門を見ただけで、この群れはまだ女王蜂が誕生していないとわかります。それは経験というか、表情なのか、まぁ蜂屋の感覚ですね。言葉ではなかなか難しいですが、父の言う「ニコニコしている」という表現は、ふくよかとか、艶々しているというか、機嫌の良い状態です。天気が悪いと蜜蜂は機嫌が悪く、花の具合によっても変わる。「この時期までは蜜が採れるけど、これから先は蜂も荒くなってくるよね」というところで作業を止める。

蜜蜂だけでなく、巣1枚を見ても「そろそろ蜂蜜を貯めてくる準備かな」とわかります。子どもを産むスペース、蜂蜜を貯めるスペースがありますが、蜂蜜が貯まるシーズンになると1枚1枚の雰囲気が違ってくる。蓋を開けて顔や雰囲気も確認するけど、間違いないことを確かめるために巣を1枚ずつ目視して確認する。病気が出ていないかも見ながら、良い状態のまま1年を過ごすために、いつも個体管理して養っています。

蜜蜂の機嫌や気持ちがわかるようになる時

山口 大体どのくらいで、どんなふうに蜂の機嫌や気持ちがわかるようになってきたのですか。

伸次 表情などは言葉では伝えられないので、父から「今日は機嫌が良いな」とか漠然と聞いているなかで、「もの言わぬ子たちだからこそ、汲み取ってやるのかな」と思って見ていれば、ある日「アッ」と気づいて、後で結果としてつながると「あの時こういう顔をしていたから、こうだったのだな」と。

幸次 師匠に付いていた頃、色々な作業を見て「なぜ今この作業をするのか」と尋ねると、「蜜蜂の顔を見るとわかる。蜜蜂が教えてくれるから」と言われました。一緒に付いて行く時は「あれ持ってこい、これ持ってこい」と言われて、蜜蜂をじっくり観察できる時間もない。師匠がいない時にそっと蜜蜂のところへ見に行くということを繰り返していると、ある日突然「あ、これか」と。自分が疑問に思っていること全てが一度につながる時が来る。家にいても寝ていても蜜蜂のことばかり考えていて、それだけ思いをかけていると、ある日突然、見えますね。見えると楽で、思ったようにコントロールできるようになる。私は10年ほどかかりましたね。

山口 私もカナダのユーコンの先住民のおじいちゃんに狩猟を教えてもらっていたのですが、「後はもう動物に聞いて。自分も大体のことは動物から教わったから」と言われました。どうしたらわかるようになるのかと尋ねると、「なるべく森の中にいて、ずっと動物のことを考えていた」と。だから本当にその通りだなと思って、今のお話を伺っていました。そんなふうにずっと考えて、何回も蜜蜂を見ていれば、わかる時が来る。それってすごい励ましですよね。時間をかけて知識や経験をある程度積まないとわからない、人からは教われない領域というのがあるのですね。

長い月日をかけて実践から得られる感覚的なもの

長坂 美術も似たようなところがある気がします。大学で知識やセオリーも学ぶけれど、それと並行して、すごく感覚的なところでたくさんのことを一度に考えている……というか、考えていないけれど考えているような。自分の中で必然的に「こうだよね」と思っているのですが、そこにどう辿り着いたのかはわからない。ちょっと違うかもしれませんが。

幸次 いやいや、同じだと思います。蜜蜂を上手に飼える人は、感性で飼っているようなものです。蜜蜂の飼育の本を読んで知識を得ても、うまく飼えない。長い月日をかけて蜜蜂と対面して、感性が養われた時に初めてわかるのです。日本の大学で蜂の生態を研究している教授の研究発表を聞きに行くのですが、実際に飼っておられる様子はひどいものです。本にも書いていらっしゃいますが、本通りにしたら蜜蜂を養えないのではと思います。長い月日をかけて教授なりに勉強して、我々はそれを活用させてもらうけど、養蜂家と教授ではそういう違いがあります。

山口 どのように蜜蜂を見ているかが違う気がします。お二人の話を聞いていると、蜜蜂への愛情だけでなく、尊敬というか、「後は任せておけば大丈夫」みたいな信頼がある。狩猟をしている時も、動物に対して尊敬や感謝のような感覚がある。捕りたいとか、うまくコントロールしたいという気持ちだけでは、わかるところまで行けない。一歩引いて任せたり、愛情を持って接したりすることが大事だと感じました。教授たちも愛情はあるかもしれませんが、研究対象として蜜蜂の生態を知りたい気持ちが先に立って、見方がちょっと異なるのかもしれないですね。私も研究者ではありますが。

長坂 山口さんはどちらも兼ね備えている印象があります。今のお話を聞きながら、私は言葉について考えていました。本のように何かを残していくのは言葉だけど、言葉では汲み取れない感覚的な何かがある。その中に知恵というものが絶対にあって、実際にやることでしか獲得できないけれど、お話を聞くなかでわからないなりに想像する。それを繰り返していくことが大事なのではと思いました。

受講者の感想

以前、職場にダンゴムシが大量発生したことがあった。隣で工事をしていたので逃げてきたのかな、工事が終わったら落ち着くだろうと考えていたが、他のスタッフはすぐに駆除するか薬を撒くかという話を始めた。その時、人の視点だけで見るのか、あるいは他の生き物の視点からも見るのかによって、考え方や行動に大きな違いが生まれると感じた。親子で養蜂を営まれているお二人は、蜜蜂の視点は同じように持ちつつ、その関係性に違いがある点が興味深い。伸次さんは人も蜜蜂も並列で、お互いに幸せになれる関係を目指しているように感じたし、幸次さんはより蜜蜂に主体を置き、負担をかけないことを意識して関わっているように感じた。(早田典央)

吉岡養蜂園がお世話をしているのは西洋蜜蜂だが、日本蜜蜂について調べている時に、木の洞の中などに巣をつくるということを知り、「あそこにいるかな」とか「あそこは住みやすそうだな」と、今までとは違う視点で自然を見るようになった。(続木梨愛)

蜜蜂たちが互いに身を寄せ合い温め合って生存に最適な温度を保ったり、蜜をリレーしながら協力し合って運んだり、貯蔵場所を守る蜂がいたり、子育てをする蜂もいたりと、蜂たちの協働のあり方や社会のことを知り、自分が働く会社組織や、人の働き方と重ねて考えてみた。蜂と違って、人は言葉を使ってコミュニケーションをとることができる。それならばもっと良い関わり合い方ができるのではないかと思うが、逆に言葉を使えるからこそ、一緒にうまく関わり合えないという状況も生まれているのかもしれないと感じた。(神田梨生)

  • Update: 2022.03.15 Tue.
  • Editor: 西尾咲子(プログラムマネージャー)
  • Photographer: 中美有紀

REFERENCES

講座について

LECTURE OUTLINE

長坂有希&山口未花子&吉岡幸次&吉岡伸次

展覧会関連トーク①&「 ハチニンカフェ」

2021年12月25日(土) 14:00–16:00

ふうせんかずら

動物人類学者の山口未花子さん、養蜂家の吉岡幸次さん、伸次さん、長坂有希さんによるトークを開催。養蜂家の具体的な仕事や移動養蜂の様子から、蜜蜂や動物とのコミュニケーションのあり方、自然環境や人間の食生活との深いつながりまで、実践家たちの興味深いお話をたくさん伺いました。「ふうせんかずら」のキッチンをお借りして、受講者は「ハチニンカフェ」を切り盛りしました。

長坂有希
アーティスト/香港城市大学クリエイティブ・メディ ア学科博士課程研究員

1980年大阪府生まれ、日本・香港在住。日常の暮らしの中で出会う事象を綿密にリサーチし、自らの体験や記憶を織り交ぜながら物語を編み、語ることをとおして、物事の関係性の再定義や、周縁のものたちからの視点を提示し、異なる人々や生物のあいだに存在している権力構造の再考を試みる。

山口未花子
動物人類学/北海道大学准教授

1976年京都府生まれ、北海道在住。大学で動物生態学を学んだ後、人類学の分野で捕鯨者や先住民の古老から動物について学ぶ。主なフィールドはカナダ・ユーコン準州、日本の宮城県牡鹿半島、西表島など。近年は自分でも狩猟や工芸品の製作をしながら日々動物について考えている。主な著書に『ヘラジカの贈り物』(単著、春風社)、『人と動物の人類学』(春風社、編著)などがある。

吉岡幸次
養蜂家/吉岡養蜂園

1947年奈良県生まれ、同在住。中学校を卒業後、師匠に弟子入りして養蜂を学ぶ。1966年に吉岡養蜂園を設立。50年以上にわたって、家族で約1000の巣箱の蜜蜂を育てている。はちみつの販売や花粉交配用の蜜蜂の貸出の他、アカシアや山桜を奈良県内で植栽し、蜜源確保に取り組む。

吉岡伸次
養蜂家/吉岡養蜂園

1974年奈良県生まれ、同在住。2003年にサラリーマン勤めを辞めて、養蜂家に転身。蜜蜂を連れて奈良から北海道枝幸郡中頓別町へと開花前線を追いかけて、より多くのはちみつを採ったり、次のシーズンに向けて良い蜂をつくる「移動型養蜂」を行っている。